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トミザワヒナ(フリーランス編集者・ライター)
(この文章は、babyCoのコワーキング利用者の声を掲載したものです。)

20代半ばで独立して10年余りのフリー編集者・ライターです。予定より1カ月早い早産での出産となったため、出産前に終わらせるはずだった仕事を持ったまま育児に突入してしまったため、否応なく子育てしながら仕事をすることなりました。おかげでキャリアは切れ目なく続けることはできましたが、そこには様々な工夫と努力が……。

中でも最も大きな変化は、キッズスペース付コワーキングの利用。産後数日おきに手伝いに来てくれていた実母が1か月を過ぎて来なくなり、夫婦だけで家庭を回していかないとならない中、少しでも仕事に集中できる時間を作りたいと利用を決断しました。すると、コワーキングスペースならではのいい点、思わぬメリットなどが続々。フリーランスならずとも、産休・育休を無駄にしたくない女性にもオススメな、子連れコワーキングの魅力をご紹介します。

出産直後のフリーランス。仕事に使える時間はあるのか?

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「育休中にすることなんて、子どもの世話とちょっとした家事でしょ? 意外と時間あるんじゃないの?」──子育てをしたことのない方はそう思われるかもしれません。実際、私もそう思ってました。
しかし! 子どもの世話というのは授乳とおむつ替え程度の単純なものでも1回2~30分は取られる、しかもそれが3時間おきに1日8回ほど(ミルクを使わず、完全母乳育児であれば、約2時間おき、1日に20回近くということも)。つまり、授乳とおむつ替え以外のすべて(洗濯、炊事、掃除、子どものお風呂、そして睡眠!!)は残された2時間半×8回に収めなければなりません。そして、アイドリングにかかる時間を考慮すると、可能な限り1つの作業は1ターム2時間程度の枠に収まるようにしないといけないのです。
普通に暮らすなら、子どもの洗濯に1ターム、大人の洗濯に1ターム(子どもがいると洗濯ものがドーンと増えるんです)、朝昼晩の炊事で3ターム、最低限の掃除で1ターム、子どものお風呂で1ターム。これで6ターム。寝ないとやっていけないので睡眠にも2ターム(4~5時間)はほしいところ。すると、仕事をする時間がゼロに! 子どもと過ごす時間プライスレス……でもインカムレスは避けたいところ……。

自助努力だけでは限界! ではどうする?!

私の場合、掃除は出産前から主人の担当だったのでパス、さらに朝昼晩の炊事を1ターム程度に抑えることで、仕事の時間を3タームは確保できるようにしました。しかし、まとまって6時間の仕事ができるのと、細切れで2時間ずつでは、仕事に取り掛かってから集中できる前のアイドリング時間が増える分、後者の方が効率は悪いです。
もう少し仕事に集中できる時間を作らないと、と思い始めたのが、母が来なくなって1カ月たったころ。心身ともに厳しいなと思い始めたタイミングで、何かいい方法はないかとインターネットを検索してたどり着いたのがキッズスペース付コワーキングbabyCoでした。
4月入園すら厳しくて「日本死ね」な状態なのに年度途中で保育園に入ることは無理、かといってシッターを頼むのはお金がかかる(1日6時間で安くて9000円程度)し、よく知らない他人を家に入れるのも少し怖い……だったら自分が託児できる場所に行って、そこで仕事をすればいいじゃない、という判断です。
babyCoの利用料金は、定期利用なら月1万円でコワーキングスペースは使い放題、シッティング料金が1時間1000円。ドロップインの場合は1時間500円+シッティング1500円。週1回(3時間)で利用することにしました。月2万円程度のコストで、仕事以外に何もしなくてもいいという時間が保証されるんです。

産休・育休がない! 子連れコワーキングでフリーならではの不安を解消

仕事に励む利用者さん。

仕事に励む利用者さん。子育て中は自宅での仕事は難しいので、babyCoで集中して取り組んでいます。。


当たり前ですが、会社員と違ってフリーランスには産休も育休も、休業中の育児休業給付金もありません。働かなければ完全に「無職」。それがフリーランスです。
幸い、産休に入る前に十分な備えはあったので、半年~1年程度の休業は不可能ではありませんでした。でも、本当に怖いのは収入のストップではなく、仕事の受注がストップすること。そして、子育て中というとクライアント側が無駄に気を使い、「トミザワさんは今子育てで忙しいだろうから、仕事頼めないね。ほかの人にしよう」となってしまうこと。1年後に奇跡的に保育園を手配でき、仕事に復帰したとして、産前と同じクライアントが同じ仕事を用意して待っていてくれるわけではないんですよね。つまり、子育て中のフリーランスは、復帰後をにらんでクライアントを手放さない努力・工夫が必要なのです。
そこで考えたのが、週に数時間でも確実に仕事に集中できる時間を用意して、各クライアントに連絡してみること。もちろん、産前と同じようなフレキシブルな対応は難しいですが、自分が「今どれくらい働ける状況なのかをきちんとアピールする」ことが重要だと判断しました。それまでに安定的なお付き合いを構築できてきたクライアントであれば、こちらが対応可能な範囲内でできる仕事を振ってくれるきっかけ作りができます。
これにより、産前同様の収入とは言わないまでも、産休・育休中のちょっとした収入と、復帰後の「座席」をキープすることができます。そして、そのために必要なのが、「確実に仕事ができる時間」の確保。babyCoを利用すれば子どもの心配をすることなく仕事に集中する時間を作れ、そしてキャリアの断絶を防げる。フリーランスにとって最も深刻な、子育てによってクライアントを失うかもいう不安を払拭することができるんです。

子連れコワーキング、その予想外なメリット

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子連れコワーキングを利用してみて、思いもかけず大きな収穫となったこと。それは保育のプロの仕事を目の前で見られることでした。
もともと子ども、というより話の通じない赤ん坊が好きではなかった私にとって、赤ちゃんとの生活は戸惑うことが多く、対処に困ることも。特に、産まれて数か月では表情もありませんし、これまでのように自由に仕事をすることもできない……報われない思いを抱えながら子どもの世話を続ける日々です。表立った自己表現は「泣くこと」だけの赤ちゃんとの暮らしは、子育て初心者にとって疑問がいっぱいで常に手探りです。
どんなあやし方に子どもがどう反応するのか、子どもをあやすときにどんな歌を歌えばいいか──自分が仕事をしている近くで保育士の先生が子どものお世話をしている子連れコワーキングなら、実際にわが子がどんな歌や対応にどう反応するのかを見ることができるので、参考になりそうなものがあれば自宅ではそれをまねすればOK。手探りでネットを検索しまくっていろいろ試すより、効率的に子どもとの接し方を学ぶことができました。
そして、保育士の先生方はもちろん、babyCoの主催である曽山さんも子育て中のママたち。生まれたばかりのわが子を手に戸惑いばかりの中、子育ての先輩からいろいろと実体験に基づくアドバイスがもらえることも。フリーランスで育休なしの育児と、一般的でないスタイルでの生活のため、ライフモデルの近い方がほとんど見つからない中、babyCoのような場所を通して仕事のこと、子育てのことを話す相手と場所ができる……これが何よりプライスレスな体験になっていると思います。

フリーランスだけじゃない! 育休中会社員のコワーキング利用のススメ

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ここまで、フリーで働く私にとっての子連れコワーキングの魅力をお伝えしてきましたが、実はコワーキングは育休中の会社員ママにぜひ利用してもらいたい、と強く思っています。
育休中は育児に専念するという方がほとんどかもしれませんが、出産前は資格取得や新たなスキルの獲得など在職中はなかなか手の出しにくいスキルアップに時間を使おうと思っていた方もいるのでは? でも、実際子どもが生まれて見るとそんな余裕はなく流されて何もしないまま復職を迎えてしまうという方も多いかもしれません。仕事と違って締め切りなどの強制力がない分、自分のための勉強というのはとかく後回しになりがち。慣れない子育てで疲れていれば、なおさらです。
でも、スキルアップを考えるような仕事好きな女性であればあるほど、赤ちゃんと二人きりで生活のほとんどの時間を過ごすことに息苦しさを感じるのでは? 立ち止まっている感にやきもきしてしまうのでは? そんな気持ちではせっかくの育児も楽しむ気分になれませんよね。
そこでおすすめしたいのが、自分への投資のつもりで週に1回でも自分のためだけに使える時間を持つこと。自分のためだけに使える時間が少しでもあることで、子どもとの時間も心に余裕を持って過ごすことができるのでは? コワーキングというと仕事を持っている人向けと思いがちですが、こういった学習室的な利用法だってアリだと思います。そして、あえて育休中もコストをかけて仕事をしたいと思って利用している他のママたちと出会えることで、仕事や学習へのモチベーションが上がる可能性も。
子どもとの時間も楽しみたいけれど、自分の時間や生き方も大切にしたいという欲ばりな女性にはぜひ挑戦してもらいたい選択肢ではないかと思います。

つらつらと子連れコワーキングについて思うところを書かせていただきましたが、実は私、出産前はコワーキングやシェアオフィス、ノマドなどといった新しい仕事のスタイルに関してはかなり否定的でした。でも、手探りで子育てをしながら、子どものいる状態で仕事をするという新しい状態に慣れなくてはいけない現状で、子連れコワーキングはベストな選択だったと思います。こういった付加価値のあるスペースが増えると、仕事を続けたい母親たちにとって保育園に代わる新たな選択肢になるのではないかなぁと期待しています。